自律神経失調症の鍼灸施術(反応点治療)
2020年01月05日、掲載
自律神経失調の手当ては、反応点に鍼灸施術を加えます。それは反応点が自律神経機能によって表現されるからです。
自律神経に失調って存在しますか・・・
鍼灸師やセラピストなどから「自律神経を調整して・・・・」などの言葉を耳にします。本当に自律神経の調整ができるのでしょうか。アメリカには自律神経失調症と言う病名はありません。それは、次のような理由があります。
●自律神経は調整できません・・調整できるならば、それは自律神経機能ではありません。仮に、その調整ができるならば、心臓の拍動は永久に動きます。汗も自由自在にコントロールできることになります。
本来、自律神経は人体に加わる環境、刺激、あるいは疾病状態から身体を守ろうと働いています。言うなれば自律神経失調症は体を守ろうと働く姿の一つです。
例えばホットフラッシュは顔が赤くなり、ほてりを感じます。ほてりは37度を保つ (自律神経機能)ために皮膚から熱を放つ姿です。すなわち、自律神経症状の原因(環境・刺激・疾病など ) が別のところにあることを示唆しています。
一般に自律神経と言えば、交感神経と副交感神経によって説明されます。しかし、詳細に見つめてみますと、その表現は余りにも大雑把で、自律神経の説明には適しません。
自律神経は局所で働く
こんな体験を通じて考えて見ましょう。自律神経は痛みに反応して、心臓をドキドキさせます=動悸。それと反対にアロマの香りがリラックスさせてくれます。すなわち自律神経は、痛みや炎症・香りなど生体に加わる感覚情報に対応して活動しています。
多くの自律神経機能は、ものを食べる時に唾液を分泌させるように、また味から消化に適する消化液を分泌させます。以上のように、自律神経を興奮させた原因は症状ごとに異なります。
多くの自律神経失調症は、平衡感覚失調・鼻炎など感覚器、また子宮・膀胱などの慢性炎症、精神的興奮などが重なって、顕著に自律神経(交感) の興奮が促されたと考えられます。
”原因疾患の反射 + 本来の自律神経機能 = 顕著な症状” となります。
自律神経失調症は自律神経の障害ではありません
原因に対応することが、つらさを解消させる方法です
一見して、冷えとほてりは別々の現象ですが、どちらも皮膚を支配する交感神経の作用で、体内温度を適正に保つには大事な作用です。皮膚血管の主要な目的は、熱の代謝=37度を保つために働いています。
反対に冷えは体温を温存しようと交感神経が働いた結果です。それは別のところに放熱がなされている時に低体温にならないように働くと考えられます。自律神経は、常に生命を保持するために働いていますから、症状多くは生命保持に必要不可欠だから生じる現象です。
すなわち、ほてりも冷えも必要性によって生じています。反応点には原因疾患が現れますから、反応点を刺激することで症状は改善します。
- 顔の発赤は、鼻炎(鼻腔の深部)などが隠されています。
- その時の手は冷えを生じます。
- 足の冷えは、膀胱・生殖器の慢性炎症が起因します。
- その時に、下腹部や腰部は汗かをかきやすくなる。
自律神経失調症などと、ひと絡めに考えると対応を間違え兼ねないですね。
自律神経失調症の手当について
自律神経は交感と副交感神経に分類されますが、とりわけ交感神経は、
- 全身に分布します(副交感は部分的)。
- 疾病の発症を知らせ、同時に修復に関わります。
この交感神経の作用は別々の皮膚面に作用しますから、反応点の観察は疾病の理解や治療に欠かすことができません。
反応点の鍼灸刺激は、浅い鍼・灸・ローラー鍼などを用いて、皮膚刺激をします。交感神経に影響力が強いところが皮膚面だからです。
自律神経失調症の正体は・・
上記のように自律神経は、痛みなど体性感覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚(五感) と前庭感覚・その他に内臓や脳の情報(圧受容器や化学受容器など)に反応して、体内環境を保持して生命を守ろうとしています。
一方、ほとんどの自律神経症状は動悸・発汗・ほてり・ひえなどですが、体の局部の交感神経の異常な興奮です。治療の対象になるのは交感神経を興奮させた原因です。それは体の構造に関連しています。
体は皮膚や粘膜によってその内部を保護し、体外からやってくる異物やや微生物などの侵入を防いでいます。でも時々侵入を許してしまうと、粘膜などが赤く腫れます(皮膚炎も同じです)
- 赤くなると痛みの信号が脊髄などに伝えられます。
- 交感神経にも連絡して局所的な交感神経活動が高まりとなります。
- 発赤・あるいは冷え(血管拡張・血管収縮 =受容体によって作用が異なる) を生じます。(血管は交感神経に支配されています)
またその時、比較的インパクトが強い(強い痛みなど)と、心悸亢進・発汗などを伴います。
考え方として大切なことは、37 度を保つために自律神経が働いていることです。
慢性炎症が長寿・健康に影響する
慢性炎症は自律神経失調症を誘導することは申しましたが、脳にとってはストレスに違いありません。ストレスが胃の不調を誘導すると言われるように、内臓の防衛力を低下する場合もあります。また、血管の炎症では動脈硬化症を誘発するなどと言われています。慢性炎症は検査で見逃されやすい疾病ですが、どなたにも発症しています。
苦痛には感じない慢性炎症が、知らず知らずのうちに、自律神経失調症や免疫の低下、別の炎症を誘発させる因子と言うことができます。反応点に鍼灸術を加える反応点治療は、隠れた原因から辛さの原因に対応します。
更年期と自律神経
更年期障害の症状のほとんどが、更年期に生じる自律神経失調と言えます。症状の一つ一つを整理すると、ひとつひとつに原因があることがわかります。
自律神経失調は数多い症状がありますが、自律神経が勝手に興奮することはありません。例えば、肩こりは咽頭炎、頭痛は咽頭炎、鼻炎などが引き金となって発症します。